ちょいと前に出生率が話題になったおりに、どっかの新聞のコラムに山上憶良のことが載っていました。
主に子煩悩っぷりの紹介。確かに、子煩悩歌人として有名ですね。
で、どんな歌があったけって記憶をひっくり返すと、ちょいとひっかかる歌が。

憶良らは今は罷らむ子泣くらむそれその母も吾を待つらむそ 

・一般的な解釈
「もう帰ります。家では子がないてるし、その母も私を待っているので」
・真の解釈
「俺様には、おまえらの宴会に付き合うよりもっと大事なことがある。いつまでも馬鹿騒ぎにつきあってられっか。なので、帰る。」

銀も金も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも 

・一般的な解釈
「金銀パールなぞたいしたものじゃない。子に勝る宝などありはしない」
・真の解釈
「給料はほどほどでいいのです。子供と遊ぶ時間を下さい」

子煩悩というのはダミーです。酷使する経営陣に対するささやかな反乱を詠ったサラリーマン川柳だったのです。

天地(あめつち)は 広しといへど 吾が為は 狭(さ)くやなりぬる 日月(ひつき)は 明(あか)しといへど 吾が為は 照りや給はむ 人皆か 吾のみや然る わくらばに 人とはあるを 人並に 吾も作るを 綿も無き 布肩衣の 海松(みる)の如(ごと) わわけさがれる かかふのみ 肩にうち懸け 伏廬(ふせいお)の 曲廬(まげいお)の内に 直土(ひたつち)に 藁(わら)解き敷きて 父母は 枕の方に 妻子どもは 足の方に 囲み居て 憂え吟(さまよ)ひ 竃(かまど)には 火気(ほけ)ふき立てず 甑(こしき)には 蜘蛛の巣懸(か)きて 飯炊(かし)く 事も忘れて ぬえ鳥の のどよひ居るに いとのきて 短き物を 端きると 云えるが如く 楚(しもと)取る 里長(さとおさ)が声は 寝屋戸(ねやど)まで 来立ち呼ばひぬ 斯(か)くばかり 術無きものか 世間(よのなか)の道 世間を憂しとやさしと思へども 飛び立ちかねつ鳥にしあらねば

・一般的な解釈
「天地は広いというが、私にとっては狭くなってしまったのだろうか。太陽や月は明るく照り輝いて恩恵を与えて下さるとはいうが、私のためには照ってはくださらないのだろうか。他の人も皆そうなのだろうか、それとも私だけなのだろうか。たまたま人間として生まれ、人並みに働いているのに、綿も入っていない麻の袖なしの、しかも海松のように破れて垂れ下がり、ぼろぼろになったものばかりを肩にかけて、低くつぶれかけた家、曲がって傾いた家の中には、地べたにじかに藁を解き敷いて、父母は枕の方に、妻子は足の方に、自分を囲むようにして、悲しんだりうめいたりしており、かまどには火の気もなく、甑には蜘蛛の巣がはって、飯を炊くことも忘れたふうで、かぼそい力のない声でせがんでいるのに、「短いものの端を切る」ということわざと同じように、鞭を持った里長の呼ぶ声が寝室にまで聞こえてくる。世間を生きてゆくということはこれほどどうしようもないものなのだろうか。
この世の中をつらく身も痩せるように耐え難く思うけれども、飛んで行ってしまうこともできない。鳥ではないのだから・・・。」
http://www.tetsureki.com/home/library/shiryoukan/hinkyuu.html
・真の解釈
「世界は広いらしいですが、私の居場所は、PCの前だけです。太陽や月は明るいらしいですが、外に出ないので知りません。この業界の人だけでしょうか。周りの人と同じだけ働いてると、服を気にする余裕もありません。今にも潰れそうな経営の傾いた会社で、今日も床にダンボールをしいて寝ています。父母は夢の中だけ。妻は子供を連れて出て行ってしまいました。今の自分を思って悲しんでくれてるといいなー。家で食事することもないのだから冷蔵庫もレンジもコンセント抜いちゃってます。死にそうな声で無理だっていってるのに、「短いものの端を切る」ということわざと同じように上司が無理な仕様をおしつけてきて睡眠もままならない。世間を生きてゆくということはこれほどどうしようもないものなのだろうか。この世の中をつらく身も痩せるように耐え難く思うけれども、飛んで行ってしまうこともできない。鳥ではないのだから・・・。」
・゜・(つД`)・゜・
万葉の時代からデスマーチですか。

おまけ。山上憶良で検索かけてたらひっかかったステキページ
http://homepage1.nifty.com/shoumu/0101c.htm
「石川朝臣君子(聖武天皇の実名)」は、人麻呂、美努王、赤人、憶良、家持などの「筆名&借名&別名」を以て、同一人物を時代や状況に依って使い分けているのです。
他諸々。有名な説なんですか?

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